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CBDと犬のアトピー

2024年5月6日

CBDは炎症を抑える効果が高いことや、免疫の調整機能に働きかけることでアトピーの症状を抑えることが期待されています。人やマウスでの研究は進んでいましたが、「犬のアトピー」にも有効であることが分かってきました。このコラムでは、2022年に「Frontiers in Veterinary Science」という権威ある獣医医学会誌に掲載された「カンナビノイドと犬のアトピー性皮膚炎」について行われた研究や、CBDとアトピーや痒みについての国内外の論文を紹介しながら、昨今注目される理由や研究についてお伝えします。

CBDがアトピーに効くのはなぜ?

CBDは世界中で様々な研究が行われ、特にアトピーや乾癬、皮膚炎などに有効な研究データが多く報告されています。CBDはなぜ皮膚炎に有効だとされるのか、現在研究がすすめられ、考えられている作用の仕組みは大きく3つあります。

ECSに働きかけて皮膚を改善

私たちのカラダには、ECS(エンドカンナビノイドシステム)という、全身の免疫や神経など、身心の機能を調節する機能が備わっています。これは、犬や猫などペットのカラダにも同様に備わっていて、食欲、免疫調整機能、運動機能、感情抑制などさまざまな機能をもち、つねに心身のバランスを整える働きをしています。

このECSは、身体の中の細胞に備わっているので、もちろん、皮膚の細胞にも存在しています。
皮膚においては、「汗」「皮脂」などの分泌の調節や、アレルギー物質など外部からの刺激に反応する免疫の調節なども行います。

CBDは、このECSに働きかけることで、過剰に免疫機能が反応してしまうことで起こる「アレルギー」の炎症や、神経にかかわる「かゆみ」や「痛み」を調節して、抑えてくれると考えられています。

アトピー肌の犬の多くは、アトピックドライスキンになって皮膚バリアが壊れたり、皮膚の薄い所からアレルギー物質が侵入したり、刺激が加わったりして、免疫が過剰に反応することで肌トラブルを起こします。

CBDがECSに働きかけ、アレルギーの炎症や、かゆみを抑えること、また、免疫の機能を調整してくれることによって、アトピーに効くといわれているのです。

ストレスの緩和、リラックス作用でかゆみを抑える

これは人のアトピーに関してですが、厚生労働省が行った調査ではアトピー性皮膚炎の悪化要因として、小児では食物や環境アレルギー、成人では心理的なストレスが多いことが報告されています。さらに、最近の研究では「なぜ、心理的なストレスがアトピー性皮膚炎を悪化させるか」ということについても、ストレスが脳の自律神経や免疫系の働きを乱し、かゆみを促進するというストレスとアトピー性皮膚炎の関係性が解明されつつあります。

ストレスや免疫、自律神経の仕組みを考えると、動物にも同じことがいえる可能性があります。

また、アトピーの「かゆみ」は、それ自体がストレス要因となるので、「ストレスでかゆい。かゆくてストレス」といった悪循環になってしまいます。

CBDには、こうしたストレスを軽減し、気持ちを落ち着ける作用があります。具体的には、幸せホルモンともいわれるセロトニンや、ストレスを抑制するGABAの分泌を促進することで、ストレスを減らしてくれます。

ストレスをおさえ、自律神経を整えてくれることが、痒みやアトピーの症状の緩和につながる一つの要因と考えられています。

抗菌作用によりかゆみや湿疹の炎症を抑える

CBDには、抗菌作用・抗炎症作用もあることが分かっています。アトピー性皮膚炎で皮膚がかゆくなる原因は、これまでご紹介してきた通り、環境的なアレルギーや、心理的ストレスによる免疫機能の異常、乾燥などによる肌バリア機能の低下などいろいろありますが、加えて、肌に常在している細菌が皮膚に侵入して感染を起こして炎症や痒みを引き起こしていることもあります。

CBDは皮膚の上で汗や皮脂などで繁殖した菌の増殖を抑えることによっても、肌の痒みや炎症を抑えていく働きを持つのです。

根本改善として期待

アトピー性皮膚炎の治療においては、現在の西洋医療では患部の炎症を抑える対処療法がメインとなっていて、根本治療は難しいとされています。
それは、患者個々が抱えるストレス要因によって、自律神経や免疫システムが崩れること、また、個々人がもともと持つ遺伝的な背景や、アレルギーなど原因が複雑な症状だからです。

CBDは、「カンナビノイド」として、ECS本来の機能を正常に導いていく全身への働きと合わせて、抗菌作用や、抗ストレス作用などもあるため、それらの作用が複合的にアトピーの症状に効いていきます。そのため、アトピーのような根本治療が難しい皮膚疾患にもCBDが効果を発揮すると期待され、海外では様々な臨床報告もでてきているのです。

犬のアトピーとCBD【研究論文】

世界で行われた研究

2022年にイタリアの研究チームが行った「犬のアトピーとCBD」についての研究が、獣医医学会誌の中でも権威のある「Frontiers in Veterinary Science」に掲載されました。研究では、犬のアトピー性皮膚炎に、CBDを含む「カンナビノイド」が働くための受容体が、どのくらい大きな役割を持っているかを調査することを目的にして研究を行いました。

この研究の中で、アトピーの犬と、健康な犬の皮膚を解析し、どのようなメカニズムで炎症が起きるか、そこにどのくらいカンナビノイド受容体が影響するかを調べました。その結果、アトピーによる炎症反応におけるカンナビノイド受容体の役割は大きく、CBDを含めたカンナビノイドが、アトピーにおける炎症の制御に役立つ可能性があると強調しました。将来的にアトピーの治療において、カンナビノイド受容体を介して、CBDによるアトピーの治療法の開発に向けた、重要な基盤を提供したのです。

引用:Cannabinoid receptors in the inflammatory cells of canine atopic dermatitis

国内で行われた研究

海外だけではなく、国内でも、CBDとアトピーの研究は進められています。

2022年に日本のヤマザキ動物看護大学の獣医師らを中心に行われた臨床研究では、犬のアトピー性皮膚炎に対する効果を調査しました。THCを含まないCBDのみが含まれる製品を1日2回使用した犬の8症例を振り返り、アトピー性皮膚炎の症状や病状について評価が行われました。その結果、CBDの使用がアトピー性皮膚炎の症状の改善に役立つ可能性が示唆されました。

引用:Effects of cannabidiol without delta-9-tetrahydrocannabinol on canine atopic dermatitis: A retrospective assessment of 8 cases

犬以外のアトピーとCBDの研究

CBDとアトピーに関しては、犬以外に、ヒトの臨床やマウスでの研究、細胞レベルでの研究など多岐にわたって研究されています。そして、それらの多くの研究で、CBDのアトピー性皮膚炎の炎症を抑える作用について、有効な可能性が出ています。

例えばCBD入りの軟膏を塗ることは、いくつかの皮膚疾患を持つ患者の生活の質を向上させるための安全で効果的な手段だと結論付ける論文や、アトピー性乾燥肌へのCBDクリームの塗布が治療にとって有効である可能性を結論付けた論文、CBDの抗酸化作用が皮膚の特定の炎症を起こすたんぱく質に働きかけ、皮膚の状態を改善する可能性があり、将来の皮膚治療法の開発に役立つ土台を気づく基礎研究などが出てきています。

引用:A therapeutic effect of cbd-enriched ointment in inflammatory skin diseases and cutaneous scars
An Observational Study of the Application of a Topical Cannabinoid Gel on Sensitive Dry Skin
Cannabidiol induces antioxidant pathways in keratinocytes by targeting BACH1

そもそもアトピーとは?

そもそもアトピーとは何なのでしょうか?厚生労働省や皮膚科学会の定義では、「アトピー性皮膚炎は、増悪・寛解を繰返す、そう痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ」とあります。

つまり、かゆみや湿疹がひどくなったり、治ったりを繰り返す慢性的な症状のこと。原因はさまざまですが、多くのアトピー患者さんは、家族がアトピーやアレルギー性鼻炎、気管支ぜんそくなどを持っている、またはアレルギー反応が起きやすい等のアトピー素因(≒アトピー体質)を持っているというのです。

犬の場合も、定義は同じですが、犬のアトピーの国際的な診断基準は下記の通りです。

・痒みの発症年齢が3歳以下
・飼育環境の多くが室内
・ステロイドで痒みが収まる
・慢性・再発性のマラセチア感染症
・前肢に症状がある
・耳に症状がある
・耳の辺縁には症状がない
・背中には症状がない

引用:Favrot C, Steffan J, Seewald W, et al. A prospective study on the clinical features of chronic canine atopic dermatitis anditsdiagnosis. 
Vet Dermatol. 21: 23-31, 2010.

犬のアトピーの原因

アトピーの症状は、本当に様々な要因が重なって起こる症状です。

遺伝的背景

犬種の中には、遺伝的にアトピーを発症しやすい犬種がいるとされています。

・ゴールデン・レトリバー
・ラブラドール・レトリバー
・ダルメシアン
・ビション・フリーゼ
・ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
・シャーペイ
・コッカースパニエル
・マルチーズ
・シベリアン・ハスキー
・ウィペット
これらの犬種は、遺伝的な要因や皮膚の特性などが関与して、アトピー性皮膚炎の発症リスクが高いと考えられています。ただし、アトピーは環境要因や個体差も重要な役割を果たすため、すべての犬種で同様の傾向が見られるわけではありません。

肌バリア機能の低下

皮膚には、外部の刺激や乾燥からカラダを護り、体の中の水分を蒸発させない「バリア機能」の役割が与えられています。これは、進化して海から陸に上がった時に、乾燥から身を護るために発達した最大の免疫機能だとも言われています。

この肌のバリア機能が、乾燥などをきっかけに壊れてしまうことで、そこからアレルギー物質や菌が侵入して肌トラブルを起こし、炎症が慢性化=つまりアトピーに発展していくことがあります。

犬の肌は毛でおおわれているため、人の皮膚の1/3ほどの薄さで、とてもデリケートな皮膚だといわれます。犬の肌のバリア機能を保つためにも、水分や油分のモイスチャバランスを整える、保湿ケアなどのスキンケアが重要なのです。

免疫・環境要因(アレルギー)

アトピーに悩む犬の多くが、ハウスダストや花粉などの環境アレルギーや、食物アレルギーなどを持っていることが知られています。アレルギーとは本来戦わなくてもいい物質なのに、身体が異物と思い込み、過剰に反応してしまう、免疫反応の異常です。

アレルギーを持っていると、お散歩や日常生活の中で肌についたアレルゲン(花粉やハウスダストなど)に皮膚が反応し、赤くなったりかゆみが出て、アトピーの症状を引き起こすのです。

腸内細菌の乱れ

昨今では研究が進み、免疫機能をつかさどるのは、「腸の環境=腸内細菌」であることが分かり始めています。アトピーやアレルギーの発症には「免疫」の機能が大きくかかわっていることから、腸内環境を荒らす悪玉菌が増え、腸内環境をよくする善玉菌が減ってしまうなど、腸内細菌バランスが悪くなることで、アトピーの症状が悪化することが分かっています。アトピーの症状をよくするには、腸内環境を改善するためのいわゆる「腸活」が大切になってきます。

常在菌の乱れ

腸と同じように、肌の免疫機能には、肌の上に棲んでいる菌たちの活躍も重要になってきます。肌の上にも善玉菌や悪玉菌、そして、何もしない日和見菌といった常在菌がいます。このバランスが崩れてしまうと、肌にポツポツとした湿しんをつくる膿皮症の原因となるブドウ球菌や、主に耳や足先、脇などが赤くなり、独特な発酵臭を伴う痒みがでるマラセチア菌などが感染し、かゆみや赤みなどの肌トラブルを引き起こすのです。

こうした常在菌は、免疫機能が正常で、肌バリアが正常であれば何も悪さはしません。普段からの免疫ケア、肌バリアを保つスキンケアが重要です。

アトピーのケア方法

ここまで紹介してきたように、アトピー性皮膚炎の原因は本当に様々なものが組み合わさっているので、一時的にかゆみや炎症を止める薬はありますが、アトピーを根本的に治す特効薬がありません。症状の改善を目指すとなると複合的なケアが必要になります。逆に、総合的なデイリーケアをしていくことで、アトピーの症状を大きく改善することができるのです。

もちろん、かゆみや赤みなど症状がひどい時は、獣医師の先生の診断を受けて、かゆみ止めなどの薬を使うことも大切です。しかし、根本的には長期的にデイリーケアも併せて行い、体質改善をしていくことが重要です。

食事・腸活

アトピーの原因となるアレルギーや免疫の対策として、食事や腸活を工夫するのがおすすめです。ポイントは、「善玉菌をふやす」「炎症の原因となりやすいものを避ける」「食物アレルギーがある子はアレルギーのものをとらない」の3つです。

詳しくは別の記事で紹介をしようと思いますが、いわゆる善玉菌に良いとされる乳酸菌を積極的に摂ったり、善玉菌の餌になるようなオリゴ糖や食物繊維を積極的に摂る食事方法です。また、炎症の原因となる酸化した油(古くなったドライフードなど)や、食物アレルギーがある子は、アレルギー物質を取らない、など食事ケアはとても重要です。

生活環境の工夫

多くのアトピーを持つ犬が、環境アレルギー(ハウスダストや花粉など)も持っていることから、普段の生活のなかで部屋をこまめに清掃して清潔な環境を整えてあげたり、散歩から帰ってきたら体についた花粉などのアレルゲンを拭いたり洗ったりしてあげることも効果的です。

スキンケア・入浴

皮膚が汚れていると、そこで菌が繁殖したりしてかゆみや炎症につながります。なので、アトピーの症状が強い子は、定期的に入浴して清潔を保ってあげることが大切です。一方で入浴は、皮膚の乾燥を招き、肌バリアを壊してしまう原因にもなってしまいます。

ミネラルオイルなどの保湿剤が入った「保湿入浴」で汚れを落としてあげる入浴方法や、入浴後にセラミドなど肌の保湿機能を保つための「保湿ケア」をしてあげることがおすすめです。

特にアトピーを持つ犬の多くが、健康な犬よりも「乾燥している」というのはデータでも明らかになっています。普段からの保湿ケアで、肌バリアを健康に保ってあげることはすごく効果的なケア方法です。

ストレスケア

ストレスも、痒みの原因の一つです。お留守番ストレスや、怖がりな子や敏感な子は騒音や新しい環境、同居しているペットや家族に対してもストレスを感じることがあります。また、犬の性格によっても、寂しがりやのかまってちゃんもいますし、マイペースで一人の時間が欲しい子もいます。

できるだけその子に合わせてストレス感じにくくしてあげるようなストレスケアを、一番近くで見ている飼い主さんが気にしてケアしてあげることも大切です。

また、アトピーによる痒み自体もストレスです。痒みがひどい場合は、獣医師の先生に相談して、薬などで一時的にコントロールしてあげることも重要です。

CBDを一助にしてみては?

ここまで、アトピーの原因やケア方法についても解説してきました。原因を考えると、なおのこと、CBDがアトピーの治療にとって大きな可能性があることが分かってきます。

アトピーという症状が複合的な原因で起こるからこそ、免疫機能や、アレルギー、ストレス、抗菌効果など総合的にアプローチできるCBDは、アトピーで悩む皆さんにとって効果的な選択肢である可能性があります。

また、慢性的で長期的な症状であるアトピーにおいては、「ずっと薬を飲み続けなくてはいけないのだろうか」という不安もあると思います。副作用や、耐性のない、自然由来のCBDだからこそ、アトピー治療の一助にしてみてはいかがでしょうか?

この記事を書いた人

  • M&N'sスタッフ

    M&N'sCBDのスタッフである商品開発米山と、カスタマーサポート上田でコラムを更新しています。商品のこと、CBDのこと、よくあるお客様の声などについて詳しくご紹介します。

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